NotionからVSCodeへのworkspace移管体験記 - ツールの「卒業」という前向きな選択
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はじめに
Notionを2年間愛用してきた私が、なぜVSCodeに軸足を移すことにしたのか。これは単なるツールの乗り換えではなく、開発者としての成長と、より効率的なワークフローを求めた結果の「卒業」でした。
1. Notionへの愛と限界
Notionの素晴らしいところ
Notionは確かに革新的なツールでした。特に以下の機能は今でも評価しています:
- データベースのリレーション機能 - 複雑な情報の関係性を美しく管理
- Webクリップ機能 - Chrome拡張からワンクリックでNotionデータベースへ
- プロジェクトワークハブ - 1画面で様々な情報を集約、身体的な「切り替え」効果
感じるようになった制約
しかし、使い込むにつれて以下の課題が浮き彫りになりました:
フリーライティングの阻害
- ブロック機能の煩わしさ - 思考の流れを中断させる
- ページ間・フォルダ間移動の煩雑さ - 直感的でない操作性
開発者としての不便さ
- ターミナルとの分離 - 開発作業との断絶
- バージョン管理の複雑さ - Gitとの連携の困難
- オフライン制約 - ネット環境への依存
2. VSCode移行のメリット
統合開発環境としての威力
VSCode + GitHub + Markdownの組み合わせが提供する価値:
開発者体験の向上
- Claude Codeとの協働 - AI支援開発の新時代
- ターミナル親和性 - シームレスな開発体験
- Git統合 - バージョン管理がネイティブ
執筆・管理の効率化
- Markdownベースの軽快さ - 思考を阻害しない書き心地
- CSV + LibreOffice - 高速で安定したデータ管理
- 記事執筆→プレビュー→Git push - ノンストップワークフロー
3. 実践!ワークスペース移行手順
ステップ1: ワークスペースファイルの作成
各プロジェクトに.code-workspace
ファイルを配置:
{
"folders": [
{
"name": "📝 プロジェクト全体管理",
"path": "."
},
{
"name": "📊 データ・記録",
"path": "./data"
},
{
"name": "📄 Documents",
"path": "./documents"
},
{
"name": "📜 Scripts",
"path": "./scripts"
},
{
"name": "🎬 関連プロジェクト",
"path": "../related-project"
}
],
"settings": {
"files.exclude": {
"**/.DS_Store": true,
"**/.git": true
},
"editor.wordWrap": "on",
"markdown.preview.fontSize": 16
}
}
ステップ2: フォルダ構造の最適化
GitHub/
├── project-a/
│ ├── project-a.code-workspace
│ ├── content/
│ ├── data/
│ └── scripts/
├── project-b/
│ ├── project-b.code-workspace
│ └── ...
└── shared-resources/
ステップ3: VSCode設定
# codeコマンドの有効化
# VSCode Command Palette > "Shell Command: Install 'code' command in PATH"
# プロジェクトの起動
code project-a.code-workspace
ポイント: 並列フォルダへのアクセス
相対パス ../
を使用して、同階層の他プロジェクトにもアクセス可能:
{
"name": "🎬 ドラマバカ",
"path": "../dramabaka"
}
4. 段階的移行戦略
フェーズ1: フリーライティング領域
- 即座に移行 - ブログ記事、メモ、アイデア整理
- 効果が最も実感しやすい - ブロック制約からの解放
フェーズ2: プロジェクト管理
- 徐々にMarkdown化 - タスク管理、進捗記録
- CSVでのデータ管理 - 軽量で高速
フェーズ3: データベース的情報
- 最後に移行 - 複雑なリレーションが必要な情報
- 必要に応じて軽量ツールと併用
Notionに残す領域
完全移行ではなく、Notionの得意分野は活用し続ける:
- Webクリップ→ブックマーク管理 - この機能は本当に優秀
- 他メンバーとの共有 - 必要に応じて
5. 新しいワークフロー体験
記事執筆の革新
# 1. プロジェクト開始
code blog-project.code-workspace
# 2. 記事執筆(Markdownエディタで集中)
# 3. リアルタイムプレビュー
# 4. Git commit & push
# 5. 公開
# すべてが一つの環境で完結
Claude Codeとの協働
開発タスクとコンテンツ作成が同一環境で:
- コード生成
- 記事の構成相談
- データ分析
- 全てがシームレス
CSV + LibreOfficeの威力
Notionデータベースよりも:
- 高速 - 大量データでも軽快
- 安定 - オフラインでも完全動作
- 柔軟 - 複雑な操作も自由自在
6. 振り返り:ツールとの健全な関係
「卒業」という前向きな捉え方
Notionからの移行は、ツールへの不満からの逃避ではありません。これは:
- 成長の証 - より高度な環境への自然な移行
- 目的の明確化 - 本当に必要な機能の見極め
- 効率の追求 - 思考とツールの一体化
学んだこと
- ツールに振り回されない - 目的に応じた最適解を選ぶ
- 段階的アプローチ - 一気に変える必要はない
- 使い分けの智恵 - 各ツールの得意分野を活用
今後の展望
VSCodeを軸とした環境で:
- より深い思考に集中
- 開発者としてのスキル向上
- AI時代の新しいワークフロー構築
まとめ
今回の移管で感じたのは、 notionもvscodeもそれぞれの設計思想がある。 そのため一長一短がある。 それがUIUXの違いに現れていて、日々アップデートされている。 進化の系統樹であるかのように、細かな分岐と統合がされている。 そのことに触れるとがテックの醍醐味でもある。
notion、vscode、githubなどのメジャーツールはもはや、OSのようだ
NotionからVSCodeへの移行は、単なるツールチェンジ以上の意味がありました。これは、自分の作業スタイルを深く見つめ直し、本当に必要な機能を見極める貴重な体験でした。
Notionは素晴らしいツールです。しかし、開発者として、そして効率的な執筆環境を求める者として、VSCode + GitHub + Markdownの組み合わせが現在の私には最適解でした。
皆さんも、ツールとの関係を見直してみてはいかがでしょうか。時には「卒業」も、成長のための前向きな選択なのかもしれません。